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【武器になる】建築設計に活用できるフォトグラメトリに挑戦してみては?|synschismo

けんちくは、私たちはsynschismoというグループで、主に空間のデジタル化を行っています。

現在は2万㎡近くある地下空間を3次元スキャンするプロジェクトを実施中するためにクラウドファンディングにも挑戦中です。

今回は、フォトグラメトリに関心を抱いている学生に向けて私たちの実作を交えながら紹介したいと思います。

技術的なHow-Toだけでなく、取り組みの事例やツールも合わせて紹介するので、ぜひ挑戦してみてください。あなたの武器になるはずです。

≫クラウドファンディング:【宇都宮市】大谷町の地下空間をテクノロジーで盛り上げたい!

フォトグラメトリは写真から3Dモデルを構築する

フォトグラメトリは、スキャンしたい対象を様々な角度から撮影した画像に対し、専用のソフトウェアによって解析することで3Dモデルを構築する技術を指します。

より詳細な技術としては、「SfM (Structure from Motion)」という計算アルゴリズムが要になっていて、異なる角度から撮影した画像群の共通した特徴点を捉えることで、撮影した位置・姿勢との立体的な関係を再現することができます。

日本語では「写真測量法」と呼ばれていて、航空写真による地形の3Dデータ化や文化遺産等の3Dデータ化によって調査に活用されてきた歴史があります。技術自体は1980年代に現れたもので、息の長い技術なんです。

実際に、フォトグラメトリをするときは、スキャンしたい対象を何枚も...何枚も...何枚も撮影します(笑)

御岳渓谷に遊びにいったときに撮影した岩...250枚くらい撮影しました(笑)

実際に取り組んだフォトグラメトリの事例を紹介|synschismo

synschismoでは、フォトグラメトリを活用したいくつかの作品があるのでそれらを簡単に紹介しながら具体的なイメージを持ってもらえたらと思います。

建築アーカイブの最先端を体験しよう-PHOTOGRAMMETRY WORKSHOP

2019年の末ごろに開催したフォトグラメトリのワークショップです。 大学構内にある休憩所である小屋をぐるっと回りながら撮影しました。屋根部分が写真に写りにくかったり、ソフトウェアが特徴を捉えにくいなどの理由からあまり屋根部分をモデル化できていません。

これは、フォトグラメトリが画像群内で共通する特徴点から3Dモデルを構築する仕組みであるがゆえに起こる問題なのですが、しっかり精度あるモデルを構築したい場合は、特徴点となるようなマーカーを設置したりライティングを行うなどの工夫が必要になってきます。

本ワークショップは入門編であったため、そこまでの施策はせず簡易的な撮影に留めました。

Qlone, the all in one tool for 3D Scanningより引用

フォトグラメトリ技術を活用した模型製作

こちらは、栃木県大田原市を拠点にした「一般社団法人えんがお」様の地域サロンである建物をスキャンし、模型製作に活用したプロジェクトです。

フォトグラメトリから模型製作までの流れについては、長くなってしまうので端折りますが、今回は2階建ての建築物であることもあり、屋根面をドローンを用いて撮影しました。

当日は雨が降っていたことと、トイドローンという小さなドローンだったためカメラ性能が低く暗い写真になっています。

これだけでも、ワークショップで課題になった屋根面のモデル化が改善できました。

スキャン対象が大きくなればなるほど、自撮り棒やドローンの活用が必要になってくるのが面白いですね。

先人たちの取り組み事例を紹介

次に、先人たちによって取り組まれている大規模な空間を対象にした事例や、先人たちの作品を観察できるプラットフォームを紹介したいと思います。

みんなの首里城デジタル復元プロジェクト

2019年10月31日の火災によって焼失してしまった首里城を、画像検索によって収集した写真と、一般の方が撮影してきた思い出の写真を集めることで、よりきれいな3Dモデルの復元を目指したプロジェクト(みんなの首里城デジタル復元プロジェクト)です。

SketchFabにアップロードされた首里城の3Dモデル
(首里城 Shuri Castle, OUR Shurijo: Shuri Castle Digital Reconstructionより引用

Photogrammetry, SketchFab

SketchFabという3Dデータを投稿できるサービスでも、フォトグラメトリ作品は多くのユーザーによって共有されています。フォトグラメトリでどんなことができるのか、気になる作品をチェックしながら、イメージを膨らませると楽しいです。

SketchFabで「Photogrammetry」と検索すると多くの方の作品を観ることができます。

≫Sketchfab

フォトグラメトリに使えるソフトフェアやアプリを紹介

最後に、フォトグラメトリに使用するソフトウェアやスマホで利用できるアプリを紹介したいと思います。

解析用ソフトウェア

まずは解析用のソフトフェアの紹介です。

Reality Capture

メッシュ生成の精度が高いですが、しっかり写真を撮影しないとメッシュが破綻したり穴が開いたりしてしまいます。次に紹介する3DFZepherに比べて、使用感がお堅めのソフトと言えます。

https://peterfalkingham.com/2019/05/17/photogrammetry-testing-reality-capture-commercialsoftware/より引用

≫RealityCapture

3DFZepher

こちらは無料で使用できますが、枚数制限がありました。Reality Captureと違ってメッシュの編集加工ができる点で便利です。

https://peterfalkingham.com/2018/07/16/photogrammetry-testing-13-revisiting-3dfzephyr-free-v4-001/より引用

≫3DF Zephyr

meshroom

完全オープンライセンスなフォトグラメトリ用ソフトになります。

各解析プロセスがノードベース(電池をワイヤーでつなぐようなUI:例えばGrasshopper)で表現されているので、フォトグラメトリの仕組みを理解するのにもおすすめなソフトです。


https://3dcoat.com/forum/index.php?/topic/22669-meshroom-free-photogrammetry/より引用

≫meshroom

3Dスキャンができるスマートフォンアプリ

次に3Dスキャンができるスマートフォンアプリ。いくつかありますが、LiDARを使用しないフォトグラメトリタイプを紹介します。

紹介する2つのアプリは、いずれも対象物の周囲をスマートフォンで撮影することで、3Dモデルを構築してくれます。

処理自体はクラウド上で行われるため、端末の性能に左右されにくいのが特徴です。(Androidのアプリで使用経験のあるおすすめアプリがなかったのですみません)

Trnio(有料アプリ・iPhoneのみ対応)

https://3dscanexpert.com/trnio-iphone-photogrammetry-app-review/より引用

≫Trnio

Matterport Capture(無料アプリ・iPhoneのみ対応)

 https://matterport.com/3d-capture-applicationsより引用

≫3D Capture Applications

おわりに

今回はフォトグラメトリについて、私たちsynschismoの事例やフォトグラメトリを活用している先行事例を紹介しました。

スマートフォン1つあれば写真の撮影はできますし、便利なアプリも登場しているので是非挑戦してみてください。

 

最後に、冒頭で紹介したクラウドファンディングの紹介をさせてください!

私たちsynschismoはいま、栃木県大谷町にある約2万㎡の地下空間を3Dスキャンし、データ活用を促進するためのプロジェクトを行っています。

高精度かつ広域な3Dスキャンは、機材はもちろん現地の方との調整が必要であったりと取り組みが容易ではありません。

地下空間のデータ化を率先して行いオープンに公開することで、様々な方がそれぞれに実験を行える環境をつくりたいと考えています。まずはプロジェクトページをご覧ください。応援をよろしくお願いいたします!

また、synschismoのホームページではこれまでの作品やコラムも掲載してるので合わせてご覧ください。

≫クラウドファンディング:【宇都宮市】大谷町の地下空間をテクノロジーで盛り上げたい!

≫synschismo | デジタル技術を活用した現実空間の体験の可能性を、社会実装を通して追求す

 

 

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