- 今の職場は労働環境が悪くて、早く転職したい
- 他の業界や未経験の職種への転職ってできるの?
この記事では、こんな疑問に答えます。
けんちくは、ペコケン編集部のユウです。
建築業界の労働環境は改善されつつありますが、未だに多くの人が過酷な環境で働いているのが実情です。
私は労働環境を改善するため、27歳のときにゼネコンの建築施工管理職から機械メーカーの建築構造設計職に転職しています。
未経験の職種なので主に将来性を重視されて採用されましたが、建築の知識があることも高く評価されました。
上記のように、未経験の業界や職種であっても建築業界での経験が活きることは珍しくありません。
この記事では、建築業界からの転職先としておすすめの業界と職種について紹介しています。
また、転職する際の注意点も理解して、希望通りの職場で働けるようにしましょう。
ライタープロフィール/ユウ
メーカー勤務で仕事は建築の構造設計。1級建築施工管理技士の資格あり。新卒で入社した地方ゼネコンで現場監督として働くが、月100時間を超える残業に耐えかねて転職。2度の転職をして毎年有給を20日以上消化できるホワイト企業に勤務。
目次
建築業界からの転職先を4種類に分けて紹介
建築業界からの転職先は、大きく分けて下記の4パターンに分類されます。
- 建築業界の同職種
- 建築業界の異職種
- 異業界の同職種
- 異業界の異職種
転職のパターンによって求められるスキルや年齢は違うので、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
建築業界の同職種へ転職
建築業界の同職種への転職では、年収アップや労働環境の改善が狙えます。
企業が求めるスキルや経験があれば、前職を上回る年収を提示してもらえるでしょう。
同業界・同職種であっても、企業によっては労働環境は全く違います。
優良企業を見極められれば、年収アップと労働環境の改善を両立した転職も可能です。
スキルが最も重要視されるため、年齢の高さが不利になりにくいというメリットも。
年収アップや労働環境の改善を図るには、同業界・同職種への転職を検討しましょう。
建築業界の異職種へ転職
建築業界の異職種への転職は、労働環境の改善が期待できます。
同じ業界であっても、職種ごとの労働環境が大きく変わるからです。
例えば、施工管理職は転勤や外での仕事が多いですが、設計職や積算職は事務所で仕事をすることがほとんどで休日出勤も少なめです。
転職する職種によっては、前職でのスキルが活かせることもあります。
建築に関する基礎的な知識やCADソフトの使用経験などは、建築業界のあらゆる職種で必要だからです。
異職種への転職は実績やスキルよりも将来性が求められるため、年齢が低い方が有利になる傾向があります。
建築業界の異職種への転職は主に労働環境の改善が期待でき、若い方が有利な転職パターンであることを理解しておきましょう。
異業界の同職種へ転職
異業界の同職種への転職は、建築業界の働き方に不満がある人におすすめです。
建築業界では長時間労働や低賃金などの問題があり、すぐに解消されるものではありません。
異業界でも同職種への転職であれば、これまで培ってきた知識やスキルが無駄にはならないでしょう。
例えば、IT・Web業界には建築系のソフト開発会社があります。
ソフトの開発や顧客との打ち合わせには建築設計や施工の知識が必要なため、建築業界の経験がある人材を採用していることも。
IT・Web業界は一見すると建築業界とは関係なさそうですが、上記のような転職パターンもあります。
異業界の同職種への転職はこれまでの経験を活かした上で、労働環境や賃金の改善を見込めるでしょう。
異業界の異職種へ転職
異業界の異職種への転職は私が経験した転職パターンで、主に労働環境の改善が期待できます。
実績よりも将来性を重視されるため、20代の若い層が有利になるでしょう。
私は27歳の時にゼネコンの建築施工管理職から機械メーカーの建築構造設計職に転職しました。
構造設計の実務は未経験ですが、建築の基礎知識があることや将来性を評価され転職に成功しています。
転職前後の年収はほとんど同じですが、毎月の残業時間が約80時間減少しました。
前職では使ったことがない有給休暇も、現職では毎年80%以上消化しています。
ただし、飲食や運送など建築業界よりも労働環境が悪い業界もあるので、下調べは入念に行いましょう。
建築業界からの転職先におすすめの業界
建築業界からの転職先におすすめの業界について、1つずつ紹介していきます。
不動産業界では建築物を扱うため、建築業界での知識が役に立つ。
IT業界や金融業界でも、建築の知識を持つ人材を求めている場合がある。
など、建築業界で培った経験や知識はさまざまな業界で役立ちます。
自分に最適なキャリアを選ぶためにも、検討してみてください。
不動産業界
不動産業界では建築の実務経験を活かせるため、建築業界からの転職におすすめです。
建築物の構造や施工に関する知識は不動産業界でも役立つため、建築業界での経験は高く評価されるでしょう。
また、インセンティブを取り入れている企業の営業職であれば、年齢に関わらず1000万円を超える高年収も目指せます。
不動産業界は建築に関する知識を活かして高収入も狙えるため、建築業界からの転職におすすめの業界です。
ただし、不動産業界はサービス残業が多い業界とも言われています。
企業選びをあやまって、労働環境が更に悪化することのないように注意しましょう。
IT業界
IT業界の中でも建築系システムの開発企業は、建築の知識がある人材を募集していることがあります。
システムの開発者はプログラミングの専門家で、建築に関する知識はあまりありません。
しかし、システムを納品する企業とは、建築に関する専門的な打ち合わせをする必要があります。
建築の知識がないと顧客が求めるシステム開発ができないので、建築業界の経験者が求められています。
これまでのスキルや知識も活かせるため、年収を下げることなく転職ができることも。
IT業界は成長が続いている市場なので、将来の年収アップにも期待ができます。
将来性のある成長市場で働きたい方は、IT業界への転職を検討しましょう。
金融業界
宅建士の資格があれば、銀行や信用金庫など金融業界への転職も可能です。
宅建士は不動産業界の資格であるイメージが強いですが、建築や金融など多方面での活躍ができます。
近年では営業所ごとに宅建士を配置する金融機関もあるため、需要が高い資格です。
また、建築施工管理や建築設計の経験者を求めている保険会社もあります。
大規模修繕保険のような建築物に関する保険を企業に提案するために、建築の知識がある人材が必要だからです。
金融業界は建築業界よりも市場規模が大きいため、労働環境の改善や年収アップが期待できます。
残業を減らして年収もアップさせたい方は、資格を取って金融業界への転職に挑戦してみてはいかがでしょうか。
製造業界
製造業界はワークライフバランスが良く、休みがしっかり取れる企業が多い業界です。
屋外での作業が多い建築業界と違い、企業によっては屋内の清潔な環境で作業ができる点もおすすめ。
建築業界での経験が活かせることもあり、品質管理や購買の仕事と、建築施工管理の仕事とは多くの共通点があります。
どちらの職種も工程や安全管理だけでなく、現場や設計の人たちとコミュニケーションを取る能力が必要です。
製造業界は労働組合が強いので、給料と福利厚生が充実した企業が多くあります。
私は製造業界の企業に勤めていますが、年間24日ある有給休暇は80%以上消化しています。
建築業界の経験を活かして労働環境を改善したい人には、製造業界への転職を検討しましょう。
地方公務員
地方公務員には土木や建築など技術職の区分があり、建設業での経験が活かせます。
建築業界では基本的に設計や工事を請け負いますが、地方公務員は発注者として公共施設の設計や監理業務を行います。
利益を追及するのではなく自治体の利便性を高めることが目的なので、住民に対する直接的な貢献を実感できるでしょう。
地方公務員は遠方への転勤が少なく給料も安定していますが、社会情勢により収入が減少することもゼロではありません。
また、多くの自治体では30歳未満を採用の対象者としているため、試験を受ける際の年齢には注意が必要です。
地域への貢献や安定した働き方を求めている20代の方にとっては、地方公務員はおすすめの転職先です。
建築業界からの転職先におすすめの職種
ここからは、建築業界からの転職先におすすめの職種を紹介していきます。
営業職
営業職はどの業界でも需要のある職種で、未経験でも採用していることが多い職種です。
建築業界の営業職は建築物の知識が必要になるため、これまでの知識が活かせることでしょう。
また、ハウスメーカーや不動産売買の企業はインセンティブの割合が多い傾向があるため、努力次第で高年収が狙えます。
異業界の営業職でも、建築業界で培ったコミュニケーション能力を活かしての転職が可能です。
一度営業の仕事を経験してモノを売るスキルを身に付ければ、どの業界でも通用する強い武器になります。
将来的に様々な業界で働きたい方や高年収を狙いたい方は、営業職が向いているかもしれません。
設計職
設計職は建築業界のスキルが活かせる仕事で、施工管理からの転職におすすめの職種です。
転勤や現場での仕事が多い施工管理と比べて、設計職は空調が効いた事務所で過ごすことがほとんどです。外回りや転勤もめったにありません。
また、建築物の基本的な知識があることやCADの使用経験など、異職種への転職ですがこれまで培ったスキルは無駄にならないでしょう。
施工管理は設計図を元に建築物をつくっていきますが、設計職は0から図面を描いていきます。
仕事内容はかなり違うので施工管理に興味が持てなかった人でも、設計の業務は楽しくこなせるかもしれませんね。
設計職は建築業界のスキルが活かせて転勤や外勤が少ない仕事なので、落ち着いた働き方がしたい方におすすめの職種です。
施工管理職
施工管理の仕事は、設計などのデスクワークにやりがいを感じない人におすすめ職種です。
施工管理は建築物が完成するまでのあらゆる過程を、全て現場で見ることができるからです。
残業時間や休日出勤が多く外での仕事も多いので、過酷な労働環境であることは間違いありません。
しかし、苦労した末に完成した建築物を見ると、デスクワークでは味わえない達成感があります。
また、施工管理は1人あたりの裁量が大きいので、経験を積めば自分が思うように現場を運営することもできるでしょう。
小さなゼネコンであれば、実力次第で30歳前後で現場所長になることも不可能ではありません。
より大きな裁量を持って仕事がしたい人は、施工管理への転職を検討してみてはいかがでしょうか。
建築業界からの転職で気をつけること
建築業界からの転職では、下記の点に気をつけておきましょう。
- 辞めないという選択肢も持っておこう
- 転職先の労働環境を確認する
- 転職エージェントの力を借りよう
それぞれの注意点を理解しておくと、希望通りの職場で働ける可能性が高まります。
辞めないという選択肢も持っておこう
建築業界から転職する際は、辞めないという選択肢も残しておきましょう。
中途採用では、転職回数が多くなるほど採用率が下がる傾向があるためです。
転職する前に別部署への異動ができないかなどを検討することをおすすめします。
同じ企業でも部署によって労働環境や業務の内容がまったく違うのは、珍しいことではありません。
私が新卒で入社したゼネコンでは、施工管理部の残業時間は毎月100時間を超えていました。一方で、設計部では月に20時間ほどの残業で休日出勤もほとんどありません。
企業としては社員に辞められるのは大きな損失なので、希望通りに異動させてくれる可能性は大いにあります。
転職活動を始める前に、今の企業で別の部署に異動できないかを検討してみましょう。
転職先の労働環境を確認する
転職先の労働環境は入念に確認しておきましょう。
十分な下調べをしないとブラック企業に入ってしまい、すぐに離職することになりかねません。
下記の特徴がある企業は労働環境が悪い可能性があるので、注意が必要です。
- 求人情報に記載されている残業時間が多いか、みなし残業制を採用している
- 入社後3年以内の離職率が高い(20%以上)
- 常に求人を募集していて採用人数が多い
- 採用条件が低く面接回数が少なすぎる
残業時間や離職率を意図的に公開していないケースもあるため、そのような企業は労働環境が悪い可能性が高いです。
また、実際にその企業で働いていたことがある人の口コミを集めたサイトもあります。
求人情報や企業のホームページでは分からないことも書かれていることが多いため、必ず確認しておきましょう。
転職エージェントの力を借りよう
建築業界で転職をする際は、転職エージェントの力を借りましょう。
仕事をしながら時間を取るのは難しいため、全ての転職活動を自分ですると効率が悪くなります。
転職エージェントは最初にキャリアアドバイザーと面談をして、自分の希望や条件を伝えます。
あとは条件に合った企業を紹介してもらえるため、転職活動にかかる労力を大幅に削減できるのがメリットです。
また、キャリアアドバイザーは現場の担当者と繋がりを持っているので、内部の情報に精通しています。
職場の雰囲気や残業の多さなどを聞くことで、よりリアルな情報を入手できます。
転職活動にかかる労力を減らしてブラック企業を避けるためには、転職エージェントの力を借りましょう。
まとめ
この記事では、建築業界からの転職先におすすめの業界と職種について紹介しました。
それぞれの業界や職種の特徴を理解しておくと、希望通りの職場で働ける可能性が高まります。
また、転職エージェントを利用することで、仕事が忙しい人でも転職活動ができます。
私が実際に利用していたのはリクルートエージェントで、スカウトサービスを活用しました。
転職サイトにアップロードした職務経歴書や履歴書を読んだ企業から連絡がきて、採用試験に進むことができます。
異なる業界や未経験の職種のスカウトも多く受けるため、異業界・異職種への転職も可能です。
指定した企業にだけ自分の情報を非公開にもできるので、現在の勤務先に見つかる心配もありません。
今の仕事を続けながらより効率よく転職活動をしたい人は、リクルートエージェントのスカウトサービスを使ってみてはいかがでしょうか。