けんちくは。しばたまるです。
今回は「アトリエと組織設計事務所の違いについて」組織設計事務所に3年半つ務めたから現在は1-1Architectsとして活動している石川 翔一さんに聞いてきちゃいました。
組織設計事務所とアトリエで就職先を迷っていたり、将来的に独立を考えているならぜひ見ていって下さいね。
■1-1Architectsって?
1-1 Architectsは石川翔一さん(左)+ 神谷勇机さん(右)の2人の建築家からなる設計事務所。
- 住まいのリフォームコンクール 優秀賞
- SDレビュー2016 入選
など数々の賞を受賞、またジンバブエにて孤児のために食事を提供する児童養護施設の計画を進めている。
組織設計事務所とアトリエの違い?
----アトリエと組織設計事務所はどう違いますか?
石川:組織設計事務所っていうのは会社の中に意匠設計とか構造設計とか設備設計とか場合によっては積算とかCGとかいろんな部隊がいて、
1つの会社の中で設計業務のいろんなことが全部できちゃうような会社のことを一般的には組織設計事務所と言います。
僕らみたいなアトリエ設計事務所っていうのは意匠設計の分野だけとか構造設計の分野だけとかある分野だけに特化した事務所。
多くのアトリエ設計事務所はデザイン的な意匠設計をして構造とか設備設計は他の会社に頼んで他の会社さんと一緒に設計全体を作り上げていくって言う形ですね。
----アトリエと組織設計事務所の仕事内容の違いは?
石川:これは一般論でしかないので難しいですが、組織設計事務所は総合力があって人数も多い所なので大きい仕事を受注しているケースが多く小学校とか庁舎とか公共案件とか大きい仕事をやっているところが多いです。
アトリエ事務所は個人からスタートして、最初は住宅とか小さい仕事がメインだったりします。そこからどんどん大きい仕事を受注していってアトリエ設計事務所自体も大きくなって行くって言う仕事の違いがあります。
----実際に勤めてて組織設計事務所とアトリエ設計事務所でここは苦労したなとかここは辛かったなぁとか体型の違いからでもいいので何かありますか。
石川:組織設計事務所の場合はチームで設計するのが基本なんですよ。
なので新入社員みたいな人たちがいて、その上に10年ぐらいやってる中堅位の人がいてプロジェクトを見てて、その上に部長みたいな偉い人がプロジェクト統括してるって言う。
そういう感じでいろんな世代の人が1つのプロジェクトに関わってて、下っ端の人は沢山を案を作ったり、模型を作ったりとか、図面を書いたりとか言うことをしていて、それを上の人に対して承認をとっていかないといけないから、お客さんにいくまでの間にもたくさんの社内の承認を得てようやく自分の案が外に出ていくことができるって言うようなプロセスを踏まないといけないところが多いと思います。
ですがアトリエ設計事務所の場合は、ボスとしてやってるので決裁権があるんですよ。自分がいいと思った案に関してはすぐにお施主さんとか企業の社長さんとか決裁権を持っている人同士で話を決めていけるのでスムーズに仕事を進めることができます。
なので向こうがこの案を駄目だって言うふうに言ってきたとしてダメな要因とかっても、ちょっと直せば良いのか全くダメなのかみたいな、そう言うのをトップ対トップでやってればどこがダメなのかも共有できるので、次の手が打ちやすいというか。スピード感があるんです。
組織設計事務所に僕がいたときにはその辺にストレスを感じていたので、今はそれがなくてどんどん自分で決めていけるみたいなところはすごくいいなって思います。
----逆に組織設計事務所では良かったけどアトリエになって独立してここ大変だなと思ったことってありますか。
石川:そうですね。それはやっぱり組織設計事務所には構造の専門家とか設備の専門家とかいろんな専門家の人がいるので、ちょっと歩いて隣に行ったりとか下のフロアに行けばすぐ構造のプロが回答送れててすぐ検討してくれてって言うスピード感みたいなものがあるんですよね。
アトリエでも構造設計とか設備設計の人と話してすぐに打ち合わせはできるんだけど、同じ会社だとそういうのがよりスムーズにいくっていうのはすごく感じます。
会社で部活動みたいなものがあったんですけど、そういうところで構造のおじさま方とか設備のおじさま方とかと会社のイベントを通して仲良くなっておくとちょっとわからない時に自分のプロジェクトの構造じゃない人、社内にいる適当な構造の人とかでも捕まえて教えてくれとか言うとすぐに返答がもらえるみたいなものがあるので。
いろんな「この人にこれを聞けば帰ってくる」みたいな人が会社のいろんな所にいて、いろんな所から知識をもらえるところが組織設計のすごい良いところでもあると思います。
なぜ組織設計事務所から3年半で独立しようと思った?
----組織設計事務所に3年半勤めてからアトリエ設計事務所として独立したと思うんですけど何で組織設計事務所を3年半勤めて独立しようって思ったんですか。
石川:1番大きかったのがさっきの決裁権の話でもあるんですよね。
自分の考えていることが相手に届くまでの距離がちょっと長すぎるんじゃないのかなって言う気もして、それがストレスにかなりなってた気がして。
例えば会社の人にその案を話してボツだったとしても、僕が会社さんのクライアントに直接自分の提案を見せることができたら、オッケーって言うかもしれないじゃないですか。だけどその前で淘汰される可能性があるみたいな…。
それがちょっとストレスになっていましたし、個人的な理由ですけど相方でやってるパートナーの神谷がアフリカに青年海外協力対に行ってたんですね。その彼と一緒にやってたアフリカのプロジェクトでSDレビューって言う建築の賞レースに応募したときに入選しすることができたっていうのがあったんで、それを機に一緒にやろうかみたいな気運も高まってスタートしました。
----就職するときに設計志望の人の多くは組織設計事務所かアトリエかゼネコンかどれにしようって迷ってる人いると思うんですけどこういう人が組織設計事務所に結構合ってるかなとかこういう人はアトリエ設計事務所合ってるかなとか自分の体験から思う所でもいいので何かあったりしますか。
石川:僕は組織設計事務所を選んだのは大きい建物をやりたいって言う希望があったんですよ。アトリエ事務所でも大きいの取り扱ってるところあるんですけど組織設計事務所では大きいのしか扱ってないところでもあるので。
そういう大きい建物、公共の小学校とかそういうものに携わりたい人は組織設計事務所の方が向いてるような気がしますし、技術的なところで言うと組織設計はアドバンテージがあると思うのでBIMとか専門的な解析とかそういうシステマチックな設計とかをしていきたい人とかにはお勧めできるかなって思いますね。
----組織設計事務所で設計やってる人って3年半て実際どうなんですかね?
石川:結構、何年で独立とか気になる人多いと思うんですけど。僕が3年半で辞めていて周りを見ていると大体7年目とか8年目とかの先輩たちっていうのはかなり生き生き仕事しているなっていう感じがあって自分も知識がついてきて自分の裁量である程度決定していくことができ図面もどんどんかけて仕事を進められてるって言う印象があったので僕も早くそれぐらいになりたいなって思ってました。
会社を辞めるとしてもそれぐらいまでやって一通り知識が身に付いてから決めた方が「後から独立してもやってるのかな」って言う感じはあったんで、3年半ていうのは予定より早かったって言う感じはあるんですよ。
なので組織設計に入社して3年半位の1番下っ端の時しか経験していないので辛かったと言えば辛かったんですけど下っ端だから、当然と言えば当然。
アトリエに最初から行ってたとしてもスタッフの3年目位までは大変だと思うので、どっちが大変とかどっちがつまんないとかっていうのは一概に言うことができないんです。
ただそういう辛かった入りたての時期を経て、今はいろいろ決定権持ってやってることができるっていうのはあります。
結局、時期の違いっていうか。大変な時期はアトリエでも組織でもどっちもあってどっちだったとしてもある程度知識がついてきて、やっていけば、いろいろ決定権を持ってやっていけるようになるのは共通してると思うので、一概にどっちが大変とか辛いとかそういう話ではないかなと思います。
----学生時代に習ったことから急に実務に入るわけだしわからないことも多い中での3年は、どっちにしろ辛いって言う事ですね。
石川:そうですね。一般的はに組織設計とか大きいゼネコンさんに行った方が成長速度は遅いって言うふうに言われますよね。やっぱり大きい物件なので全体に触れる機会っていうのがなかなか時間かかってしまうんですよ。
だからアトリエスタッフの方が最初に知識が伸びてくるタイミングは早いと思いますけど、組織の人は後からぐっと上がるような感じで成長できると思うので、最初の上り具合のタイミングが違うだけで、どちらも同じ知識がつくとは一概には言えませんが、しっかりと知識がつくとは思います。
----ありがとうございました!
おわりに
はい。インタビューはこんな感じです。
ご質問あればLINEで受け付けてます。ぼく自身建築学生だったので少しは力になれると思います。YouTubeで建築系の動画も上げているのでぜひ見て下さいね。
おしまい
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